公開: 2024年2月7日
更新: 2024年2月7日
中世の社会では、新しい知識は、ごく「稀(まれ)」にしか生み出されませんでした。そのため、人が生まれてから死ぬまでに、新しく学ばなければならない知識は、ほとんどありませんでした。現代社会では、毎年、新しい知識が生み出され、10年もすると、一般の人々でも、それらの新しい知識を利用した製品や薬などを使って生活しなければなりません。例えば、いまから50年前には、企業内でほとんど利用できなかったワード・プロセッサ(ワープロ)が利用可能になり、40年ほど前になると、ワード・プロセッサなくして、企業内の文書作りはできなくなりました。
この10年間に、企業で働いていたサラリーマンは、ワード・プロセッサの操作を学び、それまでの手書きでの文書作成に変わる「仕事の仕方」を身に着けました。ワード・プロセッサは、基本的には、小型のコンピュータですから、その利用方法を学ぶためには、間接的にはコンピュータの使い方を学んでいたと言えます。しかし、それから10年ほどすると、電子メールが広く利用されるようになり、ワード・プロセッサの時代は終わり、パーソナル・コンピュータ(パソコン)の時代になりました。ワープロは、パソコンの「ワープロソフト」に変わりました。人々は、パーソナル・コンピュータの基礎知識と、コンピュータ通信の基礎知識を学ばなければなりませんでした。
現代社会では、パーソナル・コンピュータとパソコン通信は、スマートフォンとインターネット回線に変わっています。ほぼ10年単位で、新しい道具が生み出され、社会に変化を与えています。私たちは、この変化に対応するため、新しい道具とそれらを実現するために応用されている技術に関する知識を学ばなければなりません。日本社会では、江戸時代から大正時代まで、手書きの文書と、手紙だけで、個人間の情報交換が行われていました。昭和に入ると、これに電話による通信が加わりました。この状況は、昭和50年代まで続き、その後、ワープロとFAX・電話、パソコン通信を利用した電子メールと電話、インターネットの電子メールとホームページや電話、さらにスマートフォンのメールやSNSへと変化しています。
このような世界の進歩に対応すへく、各国では、義務教育の変更する対応を迫られています。日本社会でも、小学校教育に、「英語」や「プログラミングの基礎」を追加し、中学校の教育には、「情報」教育を追加しています。「情報」や「プログラミング」は、20世紀までの教育にはなかった、全く新しい知識です。つまり、現場でそれを教える、小学校の教員も学んだことのない知識を、教えることになります。それほどの速さで、世界は変化しているのです。